最近気づいたことを、ほんの少し話そうか。

時間と犠牲

今回はお忙しいところをお時間頂きまして、ありがとうございます。
「いえ、大丈夫ですよ、時間は作るものだしね」
ありがとうございます。では、さっそくですが、お話を聞いて行きたいと思います。
「時間を作ると言えばね、キミは無理に時間を作ろうとした時に、何を犠牲にするかな?」
犠牲…ですか? あまり考えたことは無かったですね。
「そうだろう、実は私もなんだ」
どういうことでしょうか?
「今日もね、何か他の予定があったはずなんだ。それでも私はこうしてインタビューを受けている。この意味、分かるだろうか?」
他のどなたかが宮田さんにすっぽかされているという事でしょうか?
「ビンゴ、その通りだよ。これが最近気づいたコトの、ひとつ目かな」
すっぽかした事がですか?
「少しニュアンスが違うな、忘れてしまったんだよ、完全にね、約束を」
なんだか申し訳ないです…。
「いいんだ、そんなことは。過ぎたことを言っても仕方がない。確か、マウスを発明した、あのダグラス・エンゲルバートもそんなような事を言っていた」
あのレジェンドがですか?
「うん、そんな気がするよ、私の記憶が確かならね。ただ、ずいぶん前の話だから忘れてしまったけれども」
では次のお話に進めたいと思うのですが
「そうしよう、、ところで君はここのプリンは食ったのか?」
プリン…ですか? いえまだ食べていませんが・・・
「そりゃあ全然ダメだ。ここのプリンは美味いんだ。おい、ひとつ…いやふたつ持ってきてくれ」
プリン…ですか? いえまだ食べていませんが・・・
いまプリンが必要なのでしょうか?
「カラメルってのはさ、黒いだろ? でも焦げた感じがしないのは何故だか知ってるか?」
いえ、わかりません。
「カラメルってのは、砂糖が加熱により化学反応を起こし褐色化したもので、いわゆる焦げて炭化した訳ではないんだよ」
はあ、そうなんですか、それで?

「いや、私が知ってるのは、ここまでだよ。あとはググって欲しい。いまの知識もヤフー知恵袋で読んだんだ」

五十代にして思うこと

なるほど、だいぶ理解してきました
「私も先週、ついに、というか、いよいよとでも言うか、とうとう五十代に突入したんだ」
それはおめでとうございます!
「うん、それでね、いろいろ考えてね、気付いたことが二つある」
それは是非お聞きしたい内容ですね
「松野家の大黒柱「松野松蔵」は六つ子の父親でイヤミとは古い付き合いの五十歳なんだ。これはもちろん「おそ松くん」の話なんだけどね」
どういうことでしょうか?
「調べると五十歳設定のキャラクターというのは、そう多くないんだ」
それも考えたことが無かったですね
「そうだろう? 天空の城ラピュタに登場する空中海賊の女頭領【ドーラ】は既に歯が抜け落ちているにも関わらず、肉を食いちぎる強靭な婆さんという設定で、しかしまだ五十歳ということなんだ」
あの人、五十歳なんですか!

「そうだ、そして注目して欲しいのは婆さんの設定であることだろう。さらに、複雑な家族構成で知られる磯野家の波平もまた五十四歳の設定で、見た目は完全にお爺さんであり、その存在に微塵の若々しさも無い」
そう考えると、いまの五十代は若いですね
「お、プリンが来たぞ、食え」
ありがとうございます。
「で、なんの話だったっけ?」
五十代の話…でしたかね?
「もうその話はいいだろう、これ以上広がらないしな」
そうですね、では次の話題に
「五十代と言えばな、私が生まれた昭和四十三年というのは、歴史に残る事件が多かった年なんだ」
話は戻るんですね、わかりました
「まず、ケネディが暗殺された。そして三億円強奪事件」
あー、そうなんですね!
「まだあるぞ、おやつのカールが発売された」
カールおじさんのカールですか?
「極めつけは、ゴルゴ13の連載が開始されたことだな。私はゴルゴの大ファンだし、彼とは同い年ということだ」
そんなに好きなんですか?

「私はゴルゴ全巻を自炊して3枚のiPadに収録して保存している」

もっと広い視野で

すみません、そろそろ二つ目の気づき的な話は?
「うん? なんの話だったっけ?」
気づきの話です
「若者達はね、もっと広い視野で、ものごとを大きく考えるべきだと思うんだ」
それっぽい話になってきましたね
「例えばね、そうだな、キミが起業するとしよう」
はい、いい例えですね
「キミは一人では夢を実現できない、その場合、キミならどうする?」
仲間…を探すですかね?
「その通りだ、わかってきたようだな」
どうやって探したら良いのでしょうか

雪山で遭難

「想像してみて欲しい。キミは釣りが趣味だとしよう」
はい、実際に好きですね
「では例えを変えよう、キミは山登りが趣味だとしよう」
はい、山登りは興味ありません
「キミはパートナーと雪山に登山に行く。そして天気予報は外れ、信じられない猛吹雪になって夜を迎えてしまう」
大変な状況ですね、それは
「キミたちは天気予報を鵜呑みにし、準備もせずに来てしまった。寝袋はひとつしかない」
それは究極の選択ですね、譲り合える仲間かどうかということですか?
「いや、まったく違う。その時その寝袋で全裸で抱き合って寝られるかどうか、ということだ」
想像していたパートナーは親戚の叔父さんだったのですが…
「どうだ?」
ちょっと無理かもしれません。
「死んでしまうぞ? 二人とも」
それは嫌です
「そういうことなんだ、パートナー選びというのは」
そんなものなんですか?

「スタートアップのパートナー探しというのは、そういうものなんだ。これはココ(心臓を叩きながら)に命じておいて欲しい」

若者たち(未来)へ

そろそろお時間が来てしまいました。最後に何か一言を

「私がスタートアップの若者達に伝えたかったのは、たったひとつだけだ」

なんでしょうか

「何年か前に『少年よ、大志を抱け』みたいなことを言っていた外国人が居た」

そのまんま言った方が居ましたね、大昔に

「大志って男の名前だろう?」

はい?

「つまりは、男だろうが何だろうが、パートナーだったら、とにかく抱けってこと。以上だ」

いいんですか?それで

「もちろんだ、おつかれちゃん」

※写真と本文は一切関係ありません。
※本文の内容は全て架空のインタビューなので本気で読まないで下さい。
※写真家の高橋俊充さんに「語っている感」の写真を撮影して頂き記事は捏造しました。